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トレジャーデータ(Treasure Data)公式ブログ

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「横断」で極めるユーザー行動分析シリーズ①〜ゲーム・小売両業界に共通する「横断分析」のエッセンスとは?〜

トレジャーデータはクラウドでデータマネージメントサービスを提供しています。

『「横断」で極めるユーザー行動分析シリーズ』は,様々な業界におけるユーザーの行動分析を、複数のデータをユーザーIDなどで紐付けて横串に(横断的に)見ていく方法・事例をご紹介するものです。

シリーズ①となる今回は,ゲームと小売業界にフォーカスを当てていきます。

はじめに

オンラインゲーム業界で日々行われている分析手法と小売業界におけるそれを比較してみると、意外にも共通するポイントが多いことに驚きます。背景には、従来の「面」を中心とした大略的な分析のみならず、「点」である個別のユーザーに焦点を当てたより詳細な分析の重要性が増している状況があります。

本資料では、各々の業界で行われている代表的な分析手法とその特徴を例示し、共通項として浮かび上がるデータ分析のエッセンスについてご紹介していきます。

オンラインゲーム業界におけるデータ分析

1. 特徴

  • アクティブユーザーが多い、同時接続数が多くなる
  • イベントやキャンペーン、適宜ゲームに要素を追加できる
  • 細かいインターバル(時間、分単位)で主要なKPIを確認し、即時意思決定に反映することが多い

2. 分析の「縦」と「横」

a. 縦断分析 〜アクセスだけではない、様々な行動ログを活用する〜

オンラインゲームにおける縦断分析とは、一つのタイトルに関して、基本的なKPIからタイトル固有のKPIまで、分析を深い方向へ進めていく分析です。また、オンラインゲームにおいて使用するログは、従来の「アクセスログ」といったものだけに制限されるものではありません。「login」「pay」「invite」「consume_point」といった任意の行動ログを取得し、分析することでより深くゲーム状況を知ることが可能になります。

Category

説明

Activeness

ゲームの活況度を判断するKPI群。

アクティブ ユーザー数、新規ユーザー数、etc…

Funnel Analysis

コンバージョンまでの経路の離脱率を図るKPI群。

コンバージョン、チュートリアルのステップ毎の離脱度、etc…

Sales Revenue

課金周りのKPI群。

売り上げ、ARPU、 ARPPU、 etc…

Distribution

ユーザー数や課金額の分布を様々なセグメントで切った分布。

課金額の分布、レベルの分布、所有ポイント数の分布、etc…

Inflow / Outflow Equilibrium

流入と流出の平衡を見るためのKPI群。

仮想通貨の提供量/消費量、etc…

Retention

初回登録から再ログインまでの期間やリピート回数、 etc…

(表1)

オンラインゲームにおける分析軸は、(表1)のように6つのカテゴリに大別されます。さらに各カテゴリは様々なKPIを持っています。オンラインゲームにおける縦断分析とは、まさにこの分析軸と所属するKPIを増やしていく事を意味します。また、KPIの一覧性を重視するため、かつ意思決定の早さと即効性を担保するために、複雑なKPIを作成するBIのようなデータ表現を行うケースは稀です。

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(図1)

オンラインゲームの縦断分析には、できるだけ多くのKPIを同時参照、または監視することによって、全体的なユーザーの動きや変化を素早く捉えることが求められます。こうした分析においては Metric Insights(図1)の様なダッシュボード型の可視化ツールが使用されます。

b. 横断分析 〜クロスタイトル分析〜

一方で、クロスタイトル、つまり複数のゲームタイトルを横断して分析することによって分析のシナジーを高める方法があります。横断分析によってもたらされる効果として、

  • シングルタイトル、または特定のタイトルでしかアクティブに使っていないユーザーに対して、他のタイトルへの導線を埋め込むことができる
  • 過去のタイトルでのプレイ時間と課金額の意味で常連かつ優良なユーザーをモニターとして抽出し、新規タイトルでの彼らのアクティビティを分析する事で新規タイトルのポテンシャルを早期に判断できる

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(図2)

といった点が挙げられます。

クロスタイトル分析のための可視化ツールもまた、ダッシュボード型が利用されます。こちらのダッシュボードでは、複数のタイトルで共通のKPIをタイルとして横に並べる事で、タイトル間でのユーザーの流入・流出や、複数タイトルで同時にキャンペーンを実施したときの活況度の違いを比較することが可能になります。

小売業界におけるデータ分析

1. 特徴

  • 実店舗とECサイト、モバイルアプリなど複数のチャネルを持つ
  • さらにチラシ広告やweb広告、アフィリエイトブログなどPRする手段が多い
  • 特にECではキャンペーンやセールなどによって価格を柔軟に変化させることができ、また価格変動インパクトといった固有のKPIで成果を分析することが可能

2. 分析の「縦」と「横」

a. 縦断分析(EC) 〜集計負荷の大きかった分析へのチャレンジ〜

ここでは対象をECに絞って縦断分析をご紹介します。EC向けの分析は、長い年月をかけて精錬されてきました。基本的な売上分析やユーザーの属性情報に伴うセグメント分類から始まり、近年では商品の価格変更影響分析やRFM分析、バスケット分析などといった、ロジックが複雑で集計負荷が高い分析も行われるようになっています。

Category

説明

Member Activity

member_id と time という、最低限2つの項目を持つ login ログに対する KPI。PV、UU、新規ユーザー数、継続期間、etc…

Item Activity

リピート率の高い商品、値下げのインパクトのあったアイテムの特定。

Sales Revenue

年次 / 月次 / 日次、カテゴリ別 / サブカテゴリ別 での売上に関するKPI。

RFM分析

「Recency」「Frequency」「Monetary」の内、2つ以上の組み合わせでユーザーをセグメンテーション。

バスケット分析

1回の買い物(レシート)で同時購入されやすい商品ペア、同一のユーザーが同時購入している商品ペア、を頻度の多い順で抽出。

(表2)

小売業界における縦断分析とは、前述したRFM分析やバスケット分析へのチャレンジを指します。特に後者ではあらゆる商品ペアの組み合わせを数える問題で、簡単に集計できるものではありませんでした。

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(図3)

バスケット分析レポートの例(図3)。ここではユーザー単位、レシート単位での商品ペアについて、共起回数が大きかったペアや、共起度が大きかったペアを算出しています。この結果をDBに書き出してシステムが参照できるようにすれば、レコメンド表示も可能になります。

b. 横断分析 〜オムニチャネル:様々なチャネルが一元集約〜

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(図4)

「オムニチャネル」分析とは、複数(Omni)の経路(Channel)から集められる情報を統合することで、購入に至ったユーザーのきっかけや動線を分析すること、またはその手法を言います。複数のタイトルを横串で貫くオンラインゲームと異なり、リテール業界での横断分析は、実店舗、EC、SNS、広告といった幅広いチャネルを統合することで幅を拡げています。

「オムニチャネル」の横断分析事例として、以下のようなユーザーのセグメント分類があります。

  • 実店舗での商品価格とECサイトでの価格を比較し、必ず安い方を選択しているユーザーセグメント
  • 広告やSNS、アフィリエイトブログなどに感化されて購入しがちなユーザーセグメント

また、他にも

  • SNSやブログを受けての購入モチベーションと、商品レビューを受けての購入モチベーションを比較する
  • 実店舗によるユーザーの回遊分析で関心度が高いと判明した商品を、ECサイトで注目させる施策を打つ

という具合に考察を得たり、施策を講じたりすることが可能です。

なお、近年オムニチャネル分析やその戦略がとりわけ注目されるに至った背景としては、対象物との距離をセンサーで計測、取得するビーコン技術や、位置情報からライフログまで様々なデータを生成するウェアラブル端末の登場が大きいと考えられます。

ログを一元管理することのメリット

さて、ここまで見てきたように、ゲーム・小売の両業界では大略的な「面」の分析と同じく、あるいはそれ以上に、ユーザー個々人に焦点を当てた「点」の分析が重視されるにようになっています。

とりわけ小売業界では、様々なチャネル間の連携がこれからより一層充実していくと予想されます。一方で、オムニチャネル分析を実現するための最大の課題の一つに、チャネルで共通のユーザーIDをどのようにして取得するかがあります。特に実店舗(POS)とECログでのユーザーIDの結びつけは、最も注目され、かつ工夫が求められる課題ですが、上述の通りログとIDを集約的に管理することで、統合分析を行うための素地が整うのです。

また、オンラインゲームで活用されているKPIの多くは、そのまま他業界での分析に応用することが可能です。例えば、ユーザーIDとタイムスタンプ(時間)を一元的に管理・蓄積してさえいれば、すぐにでも12個のKPIを作る事が可能です。

トレジャーデータでは、あらゆるチャネル、サービスからのログを一元的に集約するための柔軟なストレージと各データソースに対応したログ収集ツールを提供します。

またログを収集する際のスキーマ設計が不要なため、ログ項目の変更や値の型のミスといった煩雑なトラブルを回避出来る点も主要なメリットの一つです。